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児童憲章 児童権利宣言
児童憲章(昭和26年5月5日)
われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。
 
児童は、人として尊ばれる。
 
児童は、社会の一員として重んぜられる。
 
児童は、よい環境のなかで育てられる。
 
一、すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その
  生活を保障される。

二、すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもつて育て
  られ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられ
  る。

三、すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾
  病と災害からまもられる。

四、すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員とし
  ての責任を自主的に果すように、みちびかれる。

五、すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちび
  かれ、また、道徳的心情がつちかわれる。

六、すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整つた教
  育の施設を用意される。

七、すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。

八、すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、
  教育を受ける機会が失われず、また児童としての生活がさまたげ
  られないように、十分に保護される。

九、すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、わるい環境か
  らまもられる。

十、すべての児童は、虐待、酷使、放任その他不当な取扱からまもら
  れる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。

十一、すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不
  十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。

十二、すべての児童は、愛とまことによつて結ばれ、よい国民として
  人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。
 
児童権利宣言(1959年11月20日国連総会)
前文
 国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権と人間の尊厳及び価値とに関する信念をあらためて確認し、かつ、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、
 国際連合は、世界人権宣言において、すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、同宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有する権利を有すると宣言したので、
 児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法律上の保護を含めて、特別にこれを守り、かつ、世話することが必要であるので、
 このような特別の保護が必要であることは、1924年のジュネーヴ児童権利宣言に述べられており、また、世界人権宣言並びに児童の福祉に関係のある専門機関及び国際機関の規約により認められているので、
 人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負うものであるので、
 よって、ここに、国際連合総会は、
 児童が、幸福な生活を送り、かつ、自己と社会の福利のためにこの宣言に掲げる権利と自由を享有することができるようにするため、この児童権利宣言を公布し、また、両親、個人としての男女、民間団体、地方行政機関及び政府に対し、これらの権利を認識し、次の原則に従って漸進的に執られる立法その他の措置によってこれらの権利を守るよう努力することを要請する。 

第1条
 児童は、この宣言に掲げるすべての権利を有する。すべての児童は、いかなる例外もなく、自己又はその家族のいづれについても、その人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位のため差別を受けることなく、これらの権利を与えられなければならない。

第2条
 児童は、特別の保護を受け、また、健全、かつ、正常な方法及び自由と尊厳の状態の下で身体的、知能的、道徳的、精神的及び社会的に成長することができるための機会及び便益を、法律その他の手段によって与えられなければならない。この目的のために法律を制定するに当たっては、児童の最善の利益について、最高の考慮が払われなければならない。

第3条
 児童は、その出生の時から姓名及び国籍をもつ権利を有する。

第4条
 児童は、社会保障の恩恵を受ける権利を有する。児童は、健康に発育し、かつ、成長する権利を有する。この目的のため、児童とその母は、出産前後の適当な世話を含む特別の世話及び保護を与えられなければならない。児童は、適当な栄養、住居、レクリエーション及び医療を与えられる権利を有する。

第5条
 身体的、精神的又は社会的に障害のある児童は、その特殊な事情により必要とされる特別の治療、教育及び保護を与えられなければならない。

第6条
 児童は、その人格の完全な、かつ、調和した発展のため、愛情と理解とを必要とする。児童は、できるかぎり、その両親の愛護と責任の下で、また、いかなる場合においても、愛情と道徳的及び物質的保障とのある環境の下で育てられなければならない。幼児は、例外的な場合を除き、その母から引き離されてはならない。社会及び公の機関は、家庭のない児童及び適当な生活維持の方法のない児童に対して特別の養護を与える義務を有する。子供の多い家庭に属する児童については、その援助のため、国その他の機関による費用の負担が望ましい。

第7条
 児童は、教育を受ける権利を有する。その教育は、少なくとも初等の段階においては、無償、かつ、義務的でなければならない。児童は、その一般的な教養を高め、機会均等の原則に基づいて、その能力、判断力並びに道徳的及び社会的責任感を発達させ、社会の有用な一員となりうるような教育を与えられなければならない。
 児童の教育及び指導について責任を有する者は、児童の最善の利益をその指導の原則としなければならない。その責任は、まず第一に児童の両親にある。
 児童は、遊戯及びレクリエーションのための充分な機会を与えられる権利を有する。その遊戯及びレクリエーションは、教育と同じような目的に向けられなければならない。社会及び公の機関は、この権利の享有を促進するために、努力しなければならない。

第8条
 児童は、あらゆる状況にあって、最初に保護及び救済を受けるべき者の中に含められなければならない。

第9条
 児童は、あらゆる放任、虐待及び搾取から保護されなければならない。児童は、いかなる形態においても、売買の対象にされてはならない。
 児童は、適当な最低年令に達する前に雇用されてはならない。児童は、いかなる場合にも、その健康及び教育に有害であり、又はその身体的、精神的若しくは道徳的発達を妨げる職業若しくは雇用に、従事させられ又は従事することを許されてはならない。

第10条
 児童は、人種的、宗教的、その他の形態による差別を助長するおそれのある慣行から保護されなければならない。児童は、理解、寛容、諸国民間の友愛、平和及び四海同胞の精神の下に、また、その力と才能が、人類のために捧げられるべきであるという充分な意識のなかで、育てられなければならない。


児童憲章について
 
昭和26年6月2日児発第二九六号
各都道府県知事あて厚生省児童局長通知

かねてより格別の御配慮を煩わしていた児童憲章は、さる五月四日及び五日の児童憲章制定会議において別紙のとおり決定の上宣言せられたが、この憲章はその性格からみて、児童福祉行政上極めて重要なものであるから、特に左記事項に留意せられて、その普及徹底に努力せられ児童福祉の増進に資せられるよう十分の御尽力を煩わしたい。

一、
児童憲章は、児童の基本的人権を尊重し、その幸福をはかるために大人の守るべき事項を、国民多数の意見を反映して児童問題有識者が自主的に制定した道徳的規範である。
従つて国及び地方公共団体は、これが実現について法的責任を有するものではないが、児童福祉の諸政策を樹立する場合及び国民を指導啓蒙する場合には、この憲章の諸条項を指標とし、各般の情勢とにらみ合せて、できる限り憲章の定める事項の実現に努力されたいこと。

二、
憲章の普及については、既にその具体的方法を考えておられることと思うが、普及徹底こそ当面の最も緊要な事項と思われるので、なお一段の努力をいたされたいこと。
なお第五回全国児童福祉大会における児童憲章普及についての決議別紙を送付するから参考とされたいこと。

三、
児童憲章の正式の解釈については、児童憲章制定会議事務局より、おつて作成の上送付せられる予定であるが、それまでは制定会議において配布した憲章草案準備会の「児童憲章草案の説明」によられたいこと。

四、
児童憲章の正式英文については、目下関係方面と折衝中であるからおつて送付する予定である。



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第五回児童福祉大会決議(抜萃)
 
(一)児童憲章普及徹底に関する機関設置要望の件
 
これについては、単なるお祭さわぎに終らないように、中央地方を通じて恒久的に設置すべきで、その組織も上から下への命令的、形式的組織でなく、あくまでも、町村末端から盛り上がる民主的なものとすること、それに要する経費は、地方でも捻出しやすいように、適当限度において国庫からも支出して貰いたい。
なお中央機構は、全国的普及啓蒙に必要な資料の作成企画など専門化した施策を講ずるサーヴイス機関とし、(たとえばポスター、映画の作成、放送など)、地方機関は実践機関として町村部落などから国民各自の意識運動として盛りあげるようにすること。
なお、本憲章の普及にあたつて、宗教的要素を無視した如き印象を国民一般に与えないように注意されたい。
 
(二)児童憲章普及徹底に関する行事運動その他諸方策の件
 
(1) 宣伝用の印刷物ポスターなどを各家庭で大切に保存する気持をおこさせるような美しいものとして、学校、工場、公会堂など公衆の多数あつまるところに勿論、一般家庭にも貼付できるように用意すること。
 
(2) 新聞、雑誌、ラジオなどを大いに利用すること。新聞や雑誌では、欄外や扉を適当に利用すること。
ラジオでは、たとえば、夜七時前後に児童憲章の時間を設けて、遂条的に朗読するなどの方法をとること。
母子手帳に児童憲章の全文を印刷すること。
 
(3) 映画、幻燈、紙芝居などを利用すること。
映画も幻燈も、概ね子供向のみになる傾きがあるが、この場合は大人も子供も含めた家族向のものが望ましい。
 
(4) 学校、婦人会、PTAなどの会合を利用すること。
 
(5) 児童厚生施設を児童憲章制定記念として増強すること。
これには児童センター、平和塔、児童会館などが考えられる。
このうち平和塔については、特に子供自らの創意性をもつ建設運動を展開すること。
なお、児童センター、児童会館などの建設にあたつては宿泊施設などを考慮し、農村児童の遠足などに備えて、都市偏重のきらいをさけること。
 
(6) 学校教科目中に組み入れること。
学校教育においては、中学校以上の社会科に、一般に対しては、社会教育用のテキストに児童憲章の条文をとり入れること。
 
(7) 会合、式典などにおいて、これを斉誦すること。
 
(8) 誕生記念に、児童憲章カードの如きものを、祝品などにそえて贈呈すること。
 
(9) 児童憲章歌を募集すること。
 
(10) カレンダーを利用すること。
 
(11) タバコ、キヤラメル等の包装箱に児童憲章の条文を印刷してこれを周知させること。
 
(12) 児童憲章は、こどもに対する大人の心がまえを書いたものであるが、別に子供自身が守るべき、いわば、こども憲章の如きものを制定するよう従憑すること。
 
(13) 児童憲章についての巡回講演会を開催すること。
 
(14) 児童憲章は全体として抽象的であるので、これを普及させるために、具体的な問題をとり上げて現実性をもたせる必要がある。これには未就学児童問題、長期欠席児童問題などが考えられる。
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